IBDセンター
当院はこの度、IBD(炎症性腸疾患)診療に特化した専用外来スペースをオープンしました。
IBD患者さんは比較的年齢が若い方が多く、受験や仕事など様々な生活背景があり病院に受診することがままならない場合もあるかと思います。そういった状況を考慮し、当院では待ち時間や点滴治療中に勉強や仕事ができるコワーキングスペースを完備し、リラックスしたい患者さんには快適性の高い点滴ベッドをご用意しました。
専属の経験豊富かつIBDの知識を備えたナースが常勤しており、それぞれの患者さんが抱える些細な不安や悩みにも細やかな看護ができる体制を整えています。
IBD患者さんは比較的年齢が若い方が多く、受験や仕事など様々な生活背景があり病院に受診することがままならない場合もあるかと思います。そういった状況を考慮し、当院では待ち時間や点滴治療中に勉強や仕事ができるコワーキングスペースを完備し、リラックスしたい患者さんには快適性の高い点滴ベッドをご用意しました。
専属の経験豊富かつIBDの知識を備えたナースが常勤しており、それぞれの患者さんが抱える些細な不安や悩みにも細やかな看護ができる体制を整えています。
IBDセンターの理念
- 点滴治療、および診察室、ナースステーションの一体化を図り、患者さんに目の届きやすく、仕事のしやすい環境づくりをめざしていきます。
- Wi-Fiを完備し、点滴治療中も仕事や勉強ができるスペースをつくり、患者さんが病院での時間を有意義に過ごせるための環境づくりをめざしていきます。
- アロマの導入を行い、患者さんがリラクゼーションできるような環境づくりをめざしていきます。
- 患者さんの問題点や治療方針をスタッフの間で共有できるよう、カンファレンスをまめに行うため、IBDセンター内にカンファレンスルームを設置します。
- 心理的安定性に配慮しスタッフが意見交換しやすく、楽しく仕事ができるような環境づくりをめざします。
IBD(炎症性腸疾患)について
IBDは炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease)の略でおもに潰瘍性大腸炎、クローン病を指します。
ともに腸管に原因不明の炎症をきたし、下痢や腹痛、発熱、血便などが持続し、様々な全身の合併症を来すことがありうる病気です。この病気は近年急激に増加していて、国内の患者数は約30万人超、高知県でも1,000人超いると想定されます。
ともに腸管に原因不明の炎症をきたし、下痢や腹痛、発熱、血便などが持続し、様々な全身の合併症を来すことがありうる病気です。この病気は近年急激に増加していて、国内の患者数は約30万人超、高知県でも1,000人超いると想定されます。
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潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
主な症状
・下痢 ・血便を伴う下痢 ・よく起こる腹痛 など
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クローン病
主に小腸や大腸などの粘膜に炎症が起きることにより粘膜にびらん(粘膜がただれている状態)や潰瘍(粘膜がえぐられている状態)ができる原因不明の慢性の病気です。
主な症状
・腹痛 ・下痢 ・血便 ・発熱 ・肛門付近の痛みや腫れ ・体重減少 など
IBDの治療について
IBDの治療における進歩は近年著しく新規薬剤が毎年のように登場しています。
過去には高度の食事制限を強いられていた患者さんや、人工肛門を造設された患者さんが多数いましたが、近年ではIBD患者さんの手術率も減少し、健康な人と変わらない生活を送る方も増えています。
当院では様々な新規薬剤を、患者さんの病状やライフスタイル、希望に合わせて使用しています。
これらの薬剤はリスクを十分に理解していただく必要があり、事前に時間をかけて十分な説明を行ってから薬剤を投与するようにしています。また、体調不良の場合には電話で相談いただき、受診が必要な場合には受診していただくようにし、これらの薬剤が安全に投与できるよう取り組んでいます。
過去には高度の食事制限を強いられていた患者さんや、人工肛門を造設された患者さんが多数いましたが、近年ではIBD患者さんの手術率も減少し、健康な人と変わらない生活を送る方も増えています。
当院では様々な新規薬剤を、患者さんの病状やライフスタイル、希望に合わせて使用しています。
これらの薬剤はリスクを十分に理解していただく必要があり、事前に時間をかけて十分な説明を行ってから薬剤を投与するようにしています。また、体調不良の場合には電話で相談いただき、受診が必要な場合には受診していただくようにし、これらの薬剤が安全に投与できるよう取り組んでいます。
客観性をもった検査・診療の選択
IBDの診療において新規治療薬の進歩は著しいですが、それらの薬剤をどのように使いこなしていくかが問題になります。
近年「T2T(Treat to Target)」※1という概念が出現しています。IBDの診療における治療目標は「内視鏡的に腸の炎症が完全に治まった状態(粘膜治癒)」や「QOL(患者さんの生活の質)の改善・正常化」ですが、どのようにその目標を達成していくか、という戦略がT2Tの概念です。そして、その目標を達成するためには症状だけでなく、血液検査のCRPやLRG(ロイシンリッチアルファ2グリコプロテイン)、便検査の便中カルプロテクチンを正常化(改善)させていくことが大事であることがわかってきています。したがって、単に薬を処方したり、点滴をしたりするだけでなく、客観性をもった検査を行いながら診療をしていくことで、できるだけ多くの患者さんの病状が効率よく改善するよう診療していきたいと考えています。当院ではこういった検査結果が当日すぐにわかるような設備も整え、客観性の高い診療を行い、患者さんの予後が少しでもよくなることを目指しています。
※1=Dan Turner, et al. Gastroenterology.2021 Apr; 160(5)1570-1583
近年「T2T(Treat to Target)」※1という概念が出現しています。IBDの診療における治療目標は「内視鏡的に腸の炎症が完全に治まった状態(粘膜治癒)」や「QOL(患者さんの生活の質)の改善・正常化」ですが、どのようにその目標を達成していくか、という戦略がT2Tの概念です。そして、その目標を達成するためには症状だけでなく、血液検査のCRPやLRG(ロイシンリッチアルファ2グリコプロテイン)、便検査の便中カルプロテクチンを正常化(改善)させていくことが大事であることがわかってきています。したがって、単に薬を処方したり、点滴をしたりするだけでなく、客観性をもった検査を行いながら診療をしていくことで、できるだけ多くの患者さんの病状が効率よく改善するよう診療していきたいと考えています。当院ではこういった検査結果が当日すぐにわかるような設備も整え、客観性の高い診療を行い、患者さんの予後が少しでもよくなることを目指しています。
※1=Dan Turner, et al. Gastroenterology.2021 Apr; 160(5)1570-1583
内視鏡センターとの連携
IBD患者さんは診断、病状の把握、治療、癌のサーベイランス(癌を早期発見するために監視すること)において内視鏡検査は欠かせません。当院は高知県において最も内視鏡件数が多い施設の一つで※2、最新の内視鏡設備と快適な前処置ルームを備えているため、IBD患者さんにも苦痛の少ない内視鏡検査を提供できると考えています。
当院では入院設備もあり重症な患者さんの対応も可能で高用量のステロイド治療やタクロリムスなどの治療も行っています。また、ステロイドで効果がないような重症急性潰瘍性大腸炎患者さんの対応もおこなっています。
※2=2023年度の県内の内視鏡検査数
当院では入院設備もあり重症な患者さんの対応も可能で高用量のステロイド治療やタクロリムスなどの治療も行っています。また、ステロイドで効果がないような重症急性潰瘍性大腸炎患者さんの対応もおこなっています。
※2=2023年度の県内の内視鏡検査数
MESSAGE
IBDセンター長 一森 俊樹Toshiki Ichimori
国吉病院に高知県ではじめてIBDセンターを開設することとなり、センター長として赴任しました。これまで私は東京にある日本でも有数のIBD専門施設へ国内留学した経験もあり、ライフワークとしてIBD患者さんの診療を行っていました。その経験を活かし、今後国吉病院IBDセンターで高知県内の多くのIBD患者さんのよりどころとなれるよう努力し、貢献していきたいと思っています。
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略歴
- 1995年5月
- 高知医科大学 第一内科 入局
- 1997年6月
- 近森病院 内科
- 2000年6月
- 社会保険中央病院 内科 炎症性腸疾患科
- 2002年6月
- 須崎くろしお病院 内科 科長
- 2023年4月
- 国吉病院 消化器内科 IBDセンター長
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資格・所属
- 日本消化器病学会
- 専門医
- 日本消化器内視鏡学会
- 専門医
- 日本内科学会
- 総合内科専門医
- 日本肝臓病学会
- 所属
IBDセンターの今後
2024年2月からIBDセンターが稼動したばかりですので、これからさらに患者さんの意見も取り入れ、さらによりよいセンターにしていきたいと考えています。遠方の患者さんの場合には近隣の先生方との診療連携も今後行っていきたいと思いますし、当院でのIBD専任スタッフの充実なども図っていく必要があると思います。
これからも今まで以上にIBDの患者さんの病状が少しでもよくなるよう全力で取り組んでいきますのでよろしくお願いします。
これからも今まで以上にIBDの患者さんの病状が少しでもよくなるよう全力で取り組んでいきますのでよろしくお願いします。